一般社団法人 アクアミネラーレ協会
Aqua Minerale Japan Association
このコーナーでは、皆さんがご存じのミネラルウォーターについて、協会会員がリポートしたものをご紹介していきます。
皆様からの投稿を募集しています。

天然炭酸のミネラルウォーター

「aWa心水」
アクアマエストロ
鈴木ルリ子さん

国内では珍しい天然の炭酸水として「aWa心水」が知られていますが、2009年9月初旬に採水地と工場の見学をしてきました。

炭酸水が湧き出る町

採水地と工場は福島県大沼郡金山町にあります。 金山町は福島県の西部に位置し、越後山脈をはさんで新潟県とも接しています。 東京からですと、交通機関を乗り継いでも会津若松市まで約3時間、会津若松駅から車で約1時間かかります。 町の90%が森林地帯という山間にある緑豊かな町です。 金山町で天然炭酸水が発見されたのは、明治初期。 昔、銅山があったことが影響しているのか炭酸水が湧き出るそうです。 炭酸水は薬泉として知られるようになり、この水に目をつけた旧会津藩主が「太陽水」として売り出し、明治時代には岩代天然炭酸鉱泉株式会社が「万歳炭酸水」の商標で販売していました。 「万歳炭酸水」は「芸者印タンサン・ミネラル・ウォーター」という商品名で、この時代にヨーロッパ諸国にも輸出していたそうですから、驚いてしまいます。 しかし、金山町は奥会津とも称される山間の町。 商品の輸送が何より大変だったそうです。 馬の背や船を使っていたそうですが、輸送で予想外の経費がかかり、休業をせざるを得なくなってしまいました。 そしておよそ100年の時を経て、2006年、株式会社ハーベスさんにより、「aWa心水」という名で天然炭酸水は復活したのです。

炭酸水の井戸

炭酸水の井戸は金山町の西部、大塩地区にあります。 すぐ近くにある大塩温泉は天然炭酸の温泉で、蛇口から炭酸水が出るお宅もあるそうです。 井戸とaWa心水の工場は100mも離れていません。 工場の裏手の細道を入ると「炭サン水」と書かれた立て看板があり、地元の人たちも汲みにきていることを伺わせてくれました。 井戸の水量は天候や季節によってもちろん変わりますが、訪れた日は残念ながら水量は少なめでした。 しかし、井戸を覗いてみると、水面がボコボコしているのが見え、天然の炭酸を期待させてくれました。 汲み上げて匂いを嗅いでみると、鉄なのか銅なのか、強い金属の匂いがしました。 匂いに負けて口に含んだのはほんの少量。 舐めた程度でも舌の上にとても強い鉄味を感じ、私には天然炭酸を感じるとることはできませんでした。 雪解けの頃は水量が多く井戸の水もおいしくいただけるそうなので、その頃にまた足を運んでみたいと思います。
地元の人の思いも込めたボトリング

工場では、1日に7000本製造しています。 ボトリングするまでの特徴は非加熱であり、濾過フィルターと紫外線殺菌をしているという点です。 20メートル下からくみ上げた地下水をばっ気し、砂ろ過、フィルター濾過をしていきます。 紫外線殺菌をする前のタンクの水を特別に飲ませていただきました。 市販されているaWa心水は、きめ細やかな泡でやさしい微炭酸水ですが、ボトリング前の水は炭酸もぴりっとしっかりしていて、炭酸水を飲んだ時に感じる酸味も少なく、タンクごと持ち帰りたい、と思えたほどのおいしさでした。 これまで気づきませんでしたが、ボトルに貼られたラベルをじっくりと見てみると、人の顔のような絵が描かれています。 何かを聞いてみたところ、金山町に伝わる妖精をモチーフにしたデザインとのことでした。 金山町は妖精の里として町おこしをしています。 地元金山町を大切にしている株式会社ハーべスさんのあたたかい思いが込められた商品なのだと感じました。

珍しい国内の天然炭酸水なので、普段の水分補給にはもちろん、てんぷらや揚げ物など、日本料理との組み合わせには是非おすすめしていきたいです。