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このコーナーでは、皆さんがご存じのミネラルウォーターについて、協会会員がリポートしたものをご紹介していきます。 皆様からの投稿を募集しています。 |
アメリカのミネラルウォーター
「Calistoga(カリストーガ)」 |
アクアマエストロ 谷相実希子さん |
2009年の夏、サンフランシスコへ旅行した際に、近郊の温泉地へ足を延ばしてみました。
その土地で出会ったミネラルウォーター”CALISTOGA(カリストーガ)”をご紹介したいと思います。
小さな温泉保養地”CALISTOGA”

サンフランシスコから北東に1時間半程車を走らせると、ワインの産地として有名なナパバレーが見えてきます。
そのナパバレーの北端に位置するのが“CALISTOGA カリストーガ”という小さな温泉保養地です。
この土地には、背後にそびえるセントヘレナ山の火山活動により、あらゆる場所で温泉が湧き出しており、mud spa (泥風呂)やgeyser (間欠泉)の町として知られています。
(2009年10月末に公開した映画「サイドウェイズ」の撮影地にもなっていたので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。)
ダイナミックな間欠泉
カリストーガに到着するなり真っ先に向かったのが“Old Faithful Geyser of California”。
前述の間欠泉が見られる小さな公園です。間欠泉とは一定の間隔で周期的に噴き出す温泉ですが、実際目にするのは今回が初めてでした。
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【Old Faithful Geyser of California のエントランス】 |
【園内の様子。中央の池から間欠泉が現れます】 |
【空に向かって吹き上がる間欠泉】 |
竹とすすきに囲まれたのどかな園内を散策していると、突然岩の裂け目から「ブクブク」という音が立ち、一瞬静まり返った後に大量の熱湯と水蒸気が噴き出しました。
その高さ約20m。
3〜4分間断続的に大小様々な噴水が見られた後、何事もなかったかのように収束してしまいました。
この間欠泉は、セントヘレナ山の火山活動と大いに関係があります。
セントヘレナ山の地下活動によってこの一帯の地下深くには高温のマグマが存在し、そのマグマ上部を流れる地中の川の水を蒸発させます。
水蒸気は地層の空洞に蓄積され、その圧力が限界に達すると、岩の割れ目から地上に噴き出すのです。
噴き出す熱湯の温度は約177℃、平均約40分の間隔で連日連夜絶えず繰り返されます。
幸いにも私が訪れた正午すぎは噴水の頻度が高い時間帯だったようで、1時間に4回も見ることができました。
また、この間欠泉の間隔は、それが長くなると地震の予兆として疑われ、地殻変動を予測する一つの指標となっているそうです。
CALISTOGA mineral water
カリストーガのメインストリートから程近いところに、ミネラルウォーターのボトリング工場“Calistoga Beverage Company”があります。
今から遡ること500年以上、原住民のワッポ族によって発見され、健康を与える湧水として親しまれてきたカリストーガの温泉水が、この工場で製品化され販売され始めたのは、1924年のことです。
原水はカリストーガの町の地下深くから採水されますが、地熱の力で採水時には沸点を超えているため、約2.2℃まで冷やした後にボトリングされているそうです。
CALISTOGA mineral waterの成分は、下記をご覧いただくと分かる通り、StillとSparklingとで成分が大きく異なります。
Sparklingタイプは100%カリストーガの温泉水ですが、Stillタイプは、セントヘレナ山を含む周辺のマヤカマス山脈より採水された天然水と混合しているためです。

【Calistoga Beverage Companyの看板 背後に工場が見えます】
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Inorganic Minerals and Metals | STILL | SPARKLING |
Sodium (Na) | 3.8 | 170 |
Calcium (Ca) | 8.1 | 2.2 |
Magnesium (Mg) | 3.2 | ND |
Potassium (K) | 1.8 | 14 |
Bicarbonate (HCO3) | 54 | 25 |
Fluoride (フッ化物) | ND | 0.17 |
Chloride (塩化物) | ND | 200 |
Sulfate (サルフェート) | ND | 110 |
TDS | 51 | 660 |
pH | 7.3 | 4.55 |
※Calistoga Beverage CompanyのWater Analysis Reportより一部抜粋 |
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口にしてみると、Stillはほんのりと甘くやさしい口当たりである一方、Sparklingは舌をピリピリさせる炭酸と後味として残る鉱物感が特徴的でした。
また、Sparklingにはライム、レモン、マンダリンオレンジのフレーバー入りもあります。
工場内は残念ながら見学できませんでしたが、受付でこのフレーバー入りの商品を無料でいただくことができました。
CALISTOGA mineral waterは、サンフランシスコ市内のドラッグストアでも購入できます。
価格は、Sparklingのプレーン(original)及びフレーバー入りは355mlサイズで共に$1.29、Still は1Lサイズで$1.69でした。
サンフランシスコに旅行される機会がありましたら、是非一度ご賞味いただければと思います。
また、ナパバレーのブドウ畑やワイナリーを眺めながらの優雅なドライブを楽しみつつ、カリストーガの町へも行かれてみてはいかがでしょうか。
【ライムとマンダリンオレンジのフレーバー入りタイプ】