一般社団法人 アクアミネラーレ協会
Aqua Minerale Japan Association
このコーナーでは、皆さんがご存じのミネラルウォーターについて、協会会員がリポートしたものをご紹介していきます。
皆様からの投稿を募集しています。

地球からの贈り物 GEROLSTEINER

アクアアドバイザー 江口慶太さん


ドイツ東部の小さな街
《ゲロルシュタイン》

高さ157mを誇る世界遺産『ケルン 大聖堂』で有名なケルンから電車 で2時間半ほど揺られると、小さな 街ゲロルシュタインがあります。 周りを山や崖に囲まれ、川が街を 分断するように流れている大自然 の中にある静かな街です。

GEROLSTEINERの種類

大きく2つに分ることができ、ミネ ラルウォーターと果汁を加えて味 をつけたものがあります。

ミネラルウォーターは3種類にあ り、炭酸有りの『SPRUDEL(強炭 酸)』、『MEDIUM(弱炭酸 味)』と炭酸無しの 『NATURELL』となります。

GEROLSTEINERは天然炭酸水で す。『NATURELL』は炭酸水とは 別の場所から採水しているもので、 炭酸水から炭酸を抜いたものでは ありません。もちろん、全てゲロ ルシュタイン周辺の採水地となり ます。面白いですね。



ドイツの国家政策
《リターナブルシステム》

1998年よりドイツで始まったペッ トボトルやビンのリサイクルシステム、それがリターナブルシステムです。

消費者が飲み終わって洗浄したペットボトルやビンをスーパーマーケットに持っていき、備え付けのリターナブルマシーンに投入すると現金でキャッシュバックされるという仕組みです。回収されたボトル類は各飲料会社に運ばれ再度利用されます。

キャッシュバック額はラベルに記載されており、ペットボトルは1 本あたり0.25ユーロ、日本円で約35円と とても高額です。ペットボトルはリサイクル限 度数が10回と決められており、限 度数に達したものは処分されます。回数のカウント方法は、ラベルの裏の目立たない箇所に1回のリサイ クルにつき1つずつ△印が刻印さ れ、機械が自動で読み取り選別します。ビンは割れるまで再利用し続けます。GEROLSTEINERのリ ターンボトル及びNEWボトルの割合は下表となります。

※PTはペットボトルです。

  PT ビン
リターン 85% 80%
NEW 15% 20%
GEROLSTEINER工場見学

GEROLSTEINERの工場はゲロルシュタインから車で10分程の大自然の 中にあります。案内して下さった方は、シュピレさん、トーマスさん、 メラニーさん、アーントさんの4名です。本当に有難うございました。

《2013年8月26日のスケジュール》
9:00 挨拶、自己紹介、3種類のミネラルウォーターを試飲
9:30 会社紹介ムービー鑑賞、リターナブルシステムレクチャー
10:00 倉庫見学
10:30 工場見学
12:00 昼食
13:00 周辺の自然見学
(スーパーマーケット、ゲロルシュタイン、スプリング、カルデラ湖)
17:30 お別れ


●倉庫

倉庫内はほぼ自動で稼働している ためか働いている方は少なく、見 かけたのはトラックドライバー1 名でした。トラックの積荷は自動 でトラックの前まで運ばれ、最後 はドライバーの手作業で検品と積 み込みをして完了となります。びっしりと何段も積まれたミネラル ウォーターの間を抜け、大きな機 械が機敏な動きをしていました。 1時間で200パレットの出し入れ が可能とのことで、お昼時にはフ ル稼働します。ドイツをはじめ、 アメリカ、日本への出荷が多く、 海外へは船で輸送します。

●工場

6つのラインがあり、ペットボトル、ビン、果汁添加と分かれています。工場は2つあるので総合計で12ラインとなります。ラインの屋根付きの建物はクリーンルームで、果汁添加のみ使用します。隣り合っている2つのラインを良く見てみると、鏡で写したような配置になっており、作業員の歩く距離を短くして効率化を図っています。

更に注目したのはチェック項目の多さと正確さです。人と機械で連携し、混入物や量、そしてラベルの汚れまでも厳しくチェックしていました。最後には、できたてのGEROLSTEINERの試飲もさせてもらいました。

《GEROLSTEINER生産過程》
選別(リターンナブルボトルのみ)

スクリューのくぼみ作り

洗浄
(ペットボトル:55°C、36000ボトル/時間)
(ビン:80°C、20000ボトル/時間)

自動で写真撮影しダメージなどを確認して選別

GEROLSTEINER注入

キャップ取付

キャップ及び量のチェック

安全性チェック

ラベル貼り付け

ラベルチェック(位置、汚れ)

ドライエリア(20°C)に移動

ゲロルシュタイン周辺の大自然

ゲロルシュタインの街に訪れ、はじめに向かった場所は観光案内所。

街の観光名所を尋ねると紹介されたのは博物館と古い遺跡でした。ゲロルシュタインは崖に囲まれているため坂が多い街で、観光名所に辿り着くのも一苦労でした。

まず向かったのは博物館です。主にゲロルシュタイン周辺の地質、動植物などの自然について展示している博物館で、理系大学出身の私は夢中になって見学していました。

この博物館を見学して本当に良かったと思いました。なぜか?
それは、GEROLSTEINERが天然の炭酸水である理由、そして美味さの謎を解くことが出来たからです。

ポイントは『海底』と『火山』です。ゲロルシュタインは大昔は海底でした。様々な生物が暮らしている海では生と死の循環が起きています。死んだ生物は海底に堆積していき、海底はカルシウムを中心にミネラルをたくさん蓄えます。やがて海底が隆起によって陸地になりました。更に、火山活動が起き、マグマが吹き出し地球内部のミネラルが大地に降り注がれ堆積しました。

地球からもらった様々なミネラルがこの土地には詰まっています。GEROLSTEINERは地球からの贈り物だと私は思います。

更に、天然の炭酸水であることも火山が関与しています。今も地下深くで活動しているマグマの中の二酸化炭素を含むことによって、炭酸水となるのです。

次に向かった観光名所は古い遺跡です。崖の上に建っていたため、そこからの景色はとても素晴らしかったです。


午前の工場見学に引き続き、午後は周辺の自然を紹介して頂きました。ゲロルシュタインの周辺は大自然が広がっていました。

まずは、ゲロルシュタイン駅から徒歩10分のところにある試飲ができる採水地です。取手が無い蛇口があり、そこから天然の炭酸水が垂れ流し状態で出続けています。それをがぶ飲みするという贅沢を味わえ大満足でした。

次に、ゲロルシュタインから車で約1時間かけ、DerWallendeBornというスプリングを見に行きました。ここは有名な観光名所の1つになっており、30分に1度、地中から水が勢い良く噴き出してきます。高さは4mに達し、1分ほど噴き続けます。地中に溜まった二酸化炭素によるためということがわかっています。

最後に訪れたのはカルデラ湖です。大昔の火山活動で出来た湖を見ているとその規模の大きさから地球の力の凄さを感じました。湖とその周りの小さな村が想像していた通りのヨーロッパの美しい景色に感じました。


写真集

Thank you